自分に適した家賃の目安とは?手取り収入をもとに徹底解説

目次
一人暮らしや同棲などで家を探すときに入念に検討する「家賃」。家賃を決めるときは、どれほどの金額なら無理なく支払い続けられるのかを考える必要があります。
そこで今回は、手取り収入や居住希望者の各シチュエーションをもとに、家賃の目安を徹底解説します。家賃を抑える秘訣もあわせてご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
家賃は「手取り収入」の「20〜30%」が目安!
自分に見合った家賃の目安がわからない場合にまず確認したいのが「手取り収入」です。一般的には「手取り収入の20〜30%にあたる家賃なら、生活に負担をかけずに支払っていける」といわれています。
そもそも「手取り収入」とは?
手取り収入とは、給与から税金や保険料などを差し引いて残った金額のこと。そのまま手元に残る金額なので、会社側が提示している額面の給与金額よりも少なくなります。実際に給与口座に振り込まれる金額が減ってしまうため、節税対策をして手取り収入をなるべく増やす人も少なくありません。
また、額面が同じ取得者でも、状況によって手取り収入は異なります。扶養家族の有無や雇用形態の違いなどで支払う税金の種類や金額が変化するため、同期入社で年収が同じでも手取り収入まで同じであるとは限りません。
手取り収入の20〜30%はいくら?
手取り収入が判明したら、まずは20〜30%に当たる金額を計算して自分に適した家賃を確認してみましょう。
下表では、各手取り収入における20〜30%の金額をまとめてみました。
手取り月収 | 手取り年収 | 20〜30%の金額(家賃適正価格) |
15万円 | 180万円 | 30,000〜45,000円 |
20万円 | 240万円 | 40,000〜60,000円 |
25万円 | 300万円 | 50,000〜75,000円 |
30万円 | 360万円 | 60,000〜90,000円 |
35万円 | 420万円 | 70,000〜105,000円 |
従来、家賃は手取り収入の3分の1(30%)が適切だといわれてきましたが、場合によっては「3分の1未満」も視野に入れましょう。
食品をはじめとするさまざまな生活物資の価格が高騰しているにもかかわらず、給与が据え置きになっている現在では、過去の常識が通用しません。そのため、生活が厳しく、3分の1よりもさらに安価な家賃を求める人も多いでしょう。
また、事前に大きな出費がわかっている場合には、家賃を25〜20%以下に抑える工夫をしてみてください。築年数や立地などで妥協を重ねれば、より安価な住まいが見つかります。
住みたいエリアによって家賃の目安は異なる
住居の立地も家賃を大きく左右するポイントです。エリアによっては、希望の予算で入居できる物件が見つからないケースもあるでしょう。そのため、まずは自分の適正家賃を不動産業者に伝え、自分が住める地域を絞るのが確実な方法です。
一方で、算出した家賃の物件が見つからないけれど、どうしてもその街に住みたい場合には、家賃の予算を「手取り収入の40%程度」までに引き上げることも検討してみましょう。エリアを妥協できない分、家賃以外の生活費を削って給与をやりくりする必要がありますが、気に入った街で暮らせます。
二人暮らしならもっと生活に余裕が出る
一人暮らしよりも金銭的に余裕が出る二人暮らしなら、適正家賃の幅も広がります。手取り収入が二人分になるため、一人暮らしでは手が届かなかったような物件も選べるのが嬉しいポイントです。加えて、選択できる居住エリアも増えます。
たとえば、それぞれの手取り収入が15万円の2人が一緒に暮らしはじめると仮定しましょう。合計の手取り収入は30万円になるため、この2人の適正家賃は「6〜10万円」となります。手取り収入が15万円で一人暮らしをする場合に比べて、グレードの高い住居を選べるのです。
さらに、家庭の手取り収入が倍になれば、家賃以外の光熱費や食費などにも余裕が生まれるため、より豊かに暮らせるでしょう。
手取り収入に合わせて生活費のシミュレーションをしてみよう!
ここからは、手取り収入ごとの生活費をシミュレーションして詳しくご紹介していきます。生活費を細分化して各項目の平均値を載せているため、自分の手取り収入と照らし合わせて確認してみてください。
手取り収入が「15万円」の場合
手取り収入が15万円の人は、生活費に余裕がなく少々の節約が必要になるでしょう。特に、趣味や貯金などにお金を回したい場合は、家賃を大きく削る選択をする人も少なくありません。
下記では、手取り収入が「15万円」の場合の生活費をシミュレーションしています。
項目 | 1ヶ月あたりの金額 |
家賃 | 40,000円 |
食費 | 30,000円 |
電気 | 7,000円 |
ガス | 3,000円 |
水道 | 3,000円(2ヶ月に1度の支払い) |
日用品 | 5,000円 |
通信費 | 4,000円 |
交通費 | 10,000円 |
交際費 | 15,000円 |
雑費・娯楽費 | 10,000円 |
合計 | 125,500円 |
※合計金額は水道代を1,500円とした場合
上表のシミュレーションでは24,500円が余る計算のため、貯金に回したり娯楽費や食費を増やしたりすることも可能です。また、「もう少しグレードの高い家に住みたい」と考えている人は、家賃を60,000円くらいまで引き上げられます。
手取り収入が「20万円」の場合
20代後半〜30代が多く該当する手取り収入20万円は、暮らしの工夫次第で生活にも余裕が生まれるでしょう。趣味や貯金に多くのお金を回したいと考えている場合には節約が必須ですが、手取り収入15万円の場合と比較すると交際費や娯楽費も捻出しやすくなります。
下記は手取り収入が「20万円」の場合の生活費をまとめた表です。
項目 | 1ヶ月あたりの金額 |
家賃 | 60,000円 |
食費 | 40,000円 |
電気 | 10,000円 |
ガス | 3,000円 |
水道 | 3,000円(2ヶ月に1度の支払い) |
日用品 | 5,000円 |
通信費 | 10,000円 |
交通費 | 10,000円 |
交際費 | 20,000円 |
雑費・娯楽費 | 15,000円 |
合計 | 174,500円 |
※合計金額は水道代を1,500円とした場合
上記のシミュレーションでは25,500円の余裕が出ます。しかし、この内訳はあくまでも目安のため、実際に生活を始めると臨時出費や必要経費などがかさみ、予測どおりにならないケースも多いでしょう。
一人暮らしに慣れるまでは余裕をもった予算配分で、安心して暮らせるように意識してみてください。金銭のやりくりで困ってしまうと仕事や生活にも支障をきたしてしまうため、無理した出費は極力控えるようにしましょう。
目安だけで決めるのはNG?!家賃を考えるときのポイント3つ
ここからは、ご紹介した目安に加えて、重視すべき家賃算出のポイントを解説していきます。家賃の目安はあくまでもベースです。ご自身の状況や理想に合わせて「適切な家賃」は変動しますので、しっかりと自己分析して検討しましょう。
ポイント①:自分のライフスタイルをよく考えて出費を計算する
1つ目のポイントは、自分の過ごしやすい環境や理想のライフスタイルを実現するために必要な費用を考えること。たとえば、友人が多い場合はゆとりのある交際費を確保したり、家賃以外に最優先したいライフスタイルがある場合には、ご自身がお金を何に使いたいのかを明確にしたりして家賃を算出しましょう。
目安だけを確認して家賃を決めてしまうと、その後の生活が理想とかけ離れてしまう可能性があります。インターネットや本などに載っている適正家賃はあくまでも参考程度にとどめておいてください。
ポイント②:管理費・共益費は家賃に含めて計算する
物件のメンテナンスや共用設備の維持に使用される「管理費・共益費」は、家賃と同様に毎月支払う固定費です。そのため、家賃の目安を計算するときは管理費・共益費も含めて考えるようにしましょう。
ちなみに管理費・共益費は、物件の設備や形態が上質であるほど高くなる傾向にあります。デザイン性や利便性に優れた物件で暮らしやすさを優先したい場合は、家賃の10%前後の管理費・共益費が必要になると考えておきましょう。
一方で、物件によっては管理費・共益費がないケースもあるため、支出をできるだけ抑えたい場合は「管理費・共益費ゼロ」の物件を探してみてください。
ポイント③:会社から支給されている家賃補助やボーナスは含めない
適正家賃を算出する際の目安となる手取り収入には、会社から支給されている「家賃補助」や「ボーナス」を含めないのもポイントです。
臨時的であったり継続が確約されていなかったりする収入をあてにして適正家賃を算出してしまうと、多少の収入の変化にも対応できなくなってしまいます。会社が制度を廃止・減額する可能性も十分にあるため、頼りすぎないように注意しましょう。
一人暮らしの家賃を抑える3つの秘訣
次に、毎月の支出の大部分を占める家賃をなるべく抑えるための秘訣をご紹介します。妥協できる点があれば参考にして、手頃な家賃の物件を見つけてみてください。
秘訣①:築浅物件にこだわらずに探す
築年数5年以下の「築浅物件」は新しく状態も良いですが、その分家賃が高い傾向にあります。そのため、手頃な家賃の物件を見つけるには「築年数にこだわらない」のも一つの手です。
築年数が経過していると「古くて住みにくいのでは?」と感じる人も多いですが、古い物件はリノベーションが施されている場合も少なくありません。不動産会社に「リノベーション済み中古物件を探している」と伝えれば、外観に古さが感じられても内装は新しく暮らしやすい物件が比較的低価格で見つかるでしょう。
秘訣②:主要駅周辺の小さな駅で探す
主要駅の近くは家賃が高くなりがちなので、その周りの小さな駅で物件を探すのもおすすめです。住宅の質は高いものの、立地によって安くなっている好物件を見つけられます。
また、主要駅から少し外れた駅を最寄りにすることで、閑静な住宅の周辺環境が得られるのも特徴です。主要駅特有の喧騒が少ないため、夜もゆっくりと休めます。
さらに、郊外の始発駅周辺の物件は家賃が下がる傾向にありますので考慮してみてください。安い物件が見つかるうえに、通勤通学をするときは電車で座りやすくなりますよ。
ただし、駅の利用者も少なくなることから、夜間の外出には注意しなければなりません。物件を決める前に住宅周辺の様子も確認しておきましょう。特に、女性は街灯や人気が少ないエリアの場合、トラブルに巻き込まれる確率も高くなるため注意が必要です。
秘訣③:駅から徒歩15分ほど離れたエリアで探す
3つ目のポイントは、駅から徒歩15分ほど離れた場所で物件を探すことです。最寄り駅から徒歩3〜5分未満と駅に近い物件ほど、利便性に優れるため家賃は高くなる傾向にあります。駅近物件よりは距離がありますが、駅の喧騒を忘れさせてくれる住みやすい物件といえるでしょう。
また、適度な時間で歩ける距離であれば、日々の運動不足解消にもつながります。徒歩が面倒に感じる人は自転車を利用するのもおすすめです。
ただし、最寄り駅まで徒歩20分以上かかる場合は、体力的にも時間的にも通勤通学の負担になってしまう可能性が高いです。家賃の安さも大切ですが、生活の負担にならない程度の距離も重視しましょう。
家賃の目安をオーバーするとどうなるの?
続いては、適正家賃をオーバーした物件を選択した場合に生じる問題について解説していきます。高い家賃による負担は、暮らしにくさに直結するため注意が必要です。
生活の質が落ちる
毎月の支出が家賃に圧迫されてしまうと、食費や光熱費などの生活に不可欠なお金を削らなくてはなりません。節約を徹底するような生活を強いられてしまい、暮らしの質が低下します。
とはいえ、惣菜やインスタントなどが中心の食生活をおくる場合は、食費を大きく節約するのは難しいでしょう。自分自身の「暮らしやすいライフスタイル」を維持するためには、収入に見合わない家賃の物件は避けることをおすすめします。
貯金ができない
適正な家賃をオーバーすると、毎月の支出を圧迫し、生活費以外に予算が残らなくなるため貯金をするのが難しくなります。特に、家賃が手取り収入の4〜5割以上になっている場合は、貯金どころか生活も必要最低限のレベルになってしまうでしょう。
貯金を計画的に行いたい場合は、家賃を手取り収入の3割以下に抑え、食費や光熱費なども無理のない程度で節約するのがおすすめです。なかには家賃を2割程度に設定し、毎月5万前後を貯金に回す人も少なくありません。どうしても貯金を続けたい場合は、支出と相談しながら定期預金を行うのも一つの手段です。
交際費や娯楽費を削らなければならない
高すぎる家賃で毎月の予算に余裕がないと、交際費や娯楽費はおのずと削減対象となるでしょう。なぜなら、食費や光熱費などよりも「生きていくためのお金」として優先順位が低いためです。収入が増えない限り、友人との食事や飲み会などを楽しめなくなります。このような場合は、人付き合いが希薄になってしまうため注意が必要です。
また予算に余裕がないと、結婚式のご祝儀や出産祝いなどの急に必要になる交際費も捻出できません。周囲との繋がりを大事にする場合は、家賃をなるべく抑えて交際費にも余裕をもたせるようにしましょう。
家賃の目安を超えてしまう場合の対処法
最後に、高すぎる家賃で困っている場合に実践できる対処法をご紹介します。手取り収入から算出した適正家賃を超えてしまう場合は、生活の質や暮らしやすさのためになるべく早く対処するのが良いでしょう。
家賃が安い物件に引っ越す
なによりも家賃自体の金額を見直す必要があるため、できるだけ安い物件に引っ越すのが1番の解決方法です。高い価格の物件で重視したような立地や設備、築浅などの条件は見つけられないかもしれませんが、そのなかでも妥協点を考えながら、リーズナブルな物件を見つけていきましょう。
また、家賃が低くてもリノベーションを経て暮らしやすくなっている物件や、静かで暮らしやすい周辺環境に恵まれた物件は豊富です。不動産会社で適正価格と要望をしっかり伝えれば、不満な点が少ない低価格な物件が見つかるでしょう。
引っ越したくないなら家計をやりくりするしかない
家賃の予算をオーバーしているにもかかわらず引っ越したくない場合は、家賃以外の費用を抑えて支出をやりくりするしかありません。基本的には、自炊・節電・節水などで食費と光熱費を抑えていきましょう。
また、見落としがちな通信費やサブスクリプションなどのサービスに伴う固定費を見直すのもおすすめです。あまり使わないサービスは解約したり、必要なサービスをより安いものに変更したりと固定費を減らしていきましょう。
生活費のやりくりに限界を感じた場合は、より手取り収入の多い仕事を見つけて転職するのも1つの方法です。転職活動による収入アップは十分に可能ですので、高めの家賃と生活水準を維持したい人は検討してみてください。
手取り収入に合わせて家賃の目安を考えよう
自分の手取り収入に見合った家賃の目安を把握すれば、安定した生活水準を保ちながら家賃を支払っていけます。また、低価格な物件を見つけられれば、貯金をしたり交際費や娯楽費を増やして豊かな生活を満喫したりすることも可能です。ぜひ本記事の適正家賃の算出方法や家賃を抑える方法を参考に、快適な一人暮らしを実現してみてください。