引越すときに区役所で必要な手続きまとめ【対象者ごとに徹底解説】

目次
新しい家や土地に引越すとき、ワクワクするのと同時に、いろいろな手続きが面倒に感じる人も多いのではないでしょうか。
人によってはいくつもの書類を区役所に提出しなければならず、何が必要なのかがわからなくなってしまいますよね。
また引越しの手続きは、多くの場合「引越し日から14日以内」などの期限が設定されているため注意が必要です。
そこで今回では、引越すときに区役所で必要な手続きをまとめました。「全員がやる手続き」「子どもがいる家庭がやる手続き」など対象者ごとに解説していますので、当てはまる人は見逃さないようにチェックしてください。
【全員が対象】区役所で行う引越し手続き
はじめに、引越しをする全員が区役所で行わなければならない手続きをご紹介していきます。
すべての人を対象とした手続きは、以下3つです。
- ほかの市区町村へ引越しする人→転出・転入届
- 同じ市区町村の中で引越しする人→転居届
- マイナンバーカードの住所変更
どの届出も各区役所などの自治体で配布している「住民異動届」などに記入して提出します。詳しい書き方については、区役所の窓口で確認してみてください。
それでは、引越しをする全員が行う手続きについて一つずつご説明します。
①転出・転入・転居届の提出
転出・転入・転居届は、今住んでいる場所とは違う市区町村に引っ越すのか、同じ市区町村の中で引越すのかによって提出する届出が異なります。
ほかの市区町村へ引越しする人
まず今住んでいる場所とは違う市区町村に引越しする人は、現在の市区町村から出ることを申請する「転出届」と、次の市区町村に入ることを申請する「転入届」を提出しましょう。
引越し前に現在の住所を管轄する区役所に行き転出届を提出し、引越したあとには新しい住所を管轄する区役所にて転入届を提出します。
転入届を提出するときは、前の市区町村で転出届を出したときに交付される「転出証明書」が必要となるため覚えておきましょう。
また転出届は「引越し日の14日前〜当日」、転入届は「引越し日〜14日以内」と手続き期間が決められています。この期限を過ぎてしまうと、5万円以下の罰金が科せられてしまうこともあるため早めに行動しましょう。
【転出届について】
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【転入届について】
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※罰金に関しての参考資料:e-Gov(総務省運営)第五十二条の2
同じ市区町村の中で引越しする人
同じ市区町村の中で引越しする人は、先にご説明した転出・転入届ではなく「転居届」の提出が義務付けられています。
こちらも転入届と同様に、引越し日から起算して「14日以内」に行わなければなりません。この期限を過ぎてしまうと、5万円以下の罰金が科せられてしまったり、新しい引越し先にある地域のサービスが受けられなかったりすることもあるため注意しましょう。
【転居届について】
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②マイナンバーカードの住所を変更する
転出や転入、転居届と同時に区役所で行うのが「マイナンバーカード」の住所変更です。マイナンバーカードにも住所が登録されているため、必ず手続きを行いましょう。
また「マイナンバー通知カード」は令和2年5月25日に廃止されました。それにともないマイナンバー通知カードの住所や氏名変更、再交付などもできなくなっています。
そのため引越しを控えている人でマイナンバー通知カードを持っている場合には、速やかにマイナンバーカードへと切り替えましょう。
【マイナンバーカードについて】
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ちなみに、転出届を提出する際にマイナンバーカードも一緒に提出すると、転出する情報が引越し先の自治体に送信されるようになっています。この場合、転出証明書は発行されないため、転入時には転出証明書ではなくマイナンバーカードを提示します。
その際には、マイナンバーカード発行時に設定した4桁の暗証番号も必要となる点にも注意しておきましょう。
※マイナンバー通知カードについて参考資料:総務省_ 通知カード
【子どもがいる家庭が対象】区役所で行う引越し手続き
子どもがいる家庭では、先にご紹介した全員が行う手続きのほかに、以下2つの手続きが必要です。
- 児童手当の住所変更
- 転園・転校手続き
一つずつご説明します。当てはまる人は参考にしてくださいね。
①児童手当の住所を変更する
同じ市区町村内で引越しする場合には、児童手当の住所を変更する必要はありません。一方で、ほかの市区町村へ引越しする場合には手続きが必要です。
まず、引越し前の旧住所を管轄する区役所で「児童手当受給事由消滅届」を提出します。そして引っ越したあとには、新住所がある区役所にて「児童手当認定請求書」を申請しましょう。
これらの用紙は窓口で用意されています。なお児童手当受給事由消滅書は、各自治体の公式ホームページからダウンロードできる場合もあるため、事前に必要事項を記入して持っていくことも可能です。
【児童手当について】
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また児童手当の住所変更には、「15日特例」と呼ばれる特別なルールが設けられていることも覚えておきましょう。
児童手当は基本的に、申請した翌月から支給されるのがルールです。
たとえば月末近くに引越しする場合、住所変更を行うのが翌月になってしまう可能性もあるでしょう。この場合、基本ルールに従えば児童手当が支給されるのは「引越した翌々月」となるため、1ヶ月分の児童手当が受け取れなくなってしまうのです。
そこで適用されるのが「15日特例」です。転入日の翌日から起算して15日以内に児童手当認定請求書を提出すれば、その月から児童手当を支給してもらえます。
子育て世帯にとっては大切な助成金ですから、期限を過ぎないようにしっかりと準備しておきましょう。
※参考:内閣府_児童手当制度のご案内
②転園・転校手続きをする
子どもがいる家庭では、転園・転校手続きも必要です。詳しくご説明しましょう。
子どもが保育園や幼稚園に通っている場合
保育園や幼稚園に通っている子どもがいる場合、転園手続きを行います。
【転園について】
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注意点として、引越したあとに通わせたい保育園や幼稚園に空きがなければ入れません。そのため事前に空き状況を確認しておく必要があります。もしも空きがなく待機児童が多い場合には、一般的な入園手続きと同じく選考を受けなくてはならないことも覚えておきましょう。
そして今まで通っていた保育園や幼稚園を退園するため「退園届」の提出が必要です。
一方、同じ市区町村内の引越しで、これまで通りの保育園や幼稚園に通う場合には「家庭状況等変更届」などの書類を提出しなければなりません。
保育園や幼稚園の転園手続きについては、各自治体や園によって大きく異なります。必ず引越し先の区役所に確認しておきましょう。
【区役所などの自治体に確認しておくべきこと】
- 保育園・幼稚園の空き状況
- 転園の窓口はどこになるのか
- 用意する書類の種類
- 入園にかかる費用
- 転園の申し込み期限
- 引越し者の救済措置があるか
また転入届の提出よりも先に転園手続きを行うと、住民票がまだ移っておらず正式な市民として認められません。そうなれば入園の選考において不利になる可能性があります。
ただし自治体によっては、一定の期間内で確実に入園できるときに限り、引越し者の救済措置を設けているケースも少なくありません。
この救済措置を受けられれば、ほかの市民と同じ条件で平等に選考してもらえるのです。子どもが保育園や幼稚園に入れないと困る人は、引越し先の区役所で救済措置を行っているかどうかもチェックしておきましょう。
子どもが小学生以上の場合
小学生以上の子どもがいる場合には、転校の手続きが必要です。
引越しが決まったら、今通っている学校に転校の申し出を行います。引越しの旨を伝えると、在学中の学校から「在学証明書」と「教科書給与証明書」が発行されます。
そのあとは区役所の窓口にて「転入学通知書」を受け取りましょう。この3点が揃ったら、転校先の学校に提出して手続き完了です。
【妊娠している人が対象】区役所で行う引越し手続き
引越しするときに妊娠している人は、「検診補助券」の交換手続きを行いましょう。検診補助券とは妊婦検診の費用を補助してもらえる券のことで、区役所から母子手帳と一緒に受け取っているはずです。
こちらは各自治体によって補助金額が異なるため、ほかの市区町村へ引越しする場合には検診補助券の交換手続きが必要です。反対に、同じ市区町村内での引越しの場合には交換する必要はありません。
【検診補助券について】
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【一部の人のみ対象】区役所で行う引越し手続き
最後に、該当する一部の人のみを対象とした引越し手続きについてご紹介しましょう。
国民健康保険に加入している場合
国民健康保険に加入している人は、下記の手続きが必要です。
- ほかの市区町村に引越す→国民健康保険の資格喪失手続き、国民健康保険の加入手続き
- 同じ市区町村で引越す→国民健康保険の住所変更
転入日から数えて14日以内に手続きを行わなければ、保険診療を受けられなくなるおそれもありますので注意しましょう。
【ほかの市区町村に引越す場合】
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国民年金第1号被保険者に該当する場合
自営業や農林漁業者、学生、無職などが対象となる「国民年金第1号被保険者」は、国民年金の住所変更も行わなければなりません。
ただし同じ市区町村内での引越しの場合には、この手続きは不要です。
またマイナンバーカードと基礎年金番号を結びつけている場合にも、手続きは必要ありません。住民票を移動させるだけで自動的に住所変更してくれます。
【ほかの市区町村に引越す場合】
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※以下すべてに当てはまる場合のみ
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不動産や自動車などを所持している、または所持する予定がある場合
不動産や自動車などを所持している人、またはこれから所持する予定がある人は、印鑑登録の住所変更もしておきましょう。
ほかの市区町村へ引越す場合、旧住所を管轄している区役所にて「印鑑登録廃止届」を提出します。そのあと、引越しが終わってから新住所を管轄する区役所であらためて印鑑登録を行います。転出届を提出するときに、一緒に印鑑登録の廃止を行ってくれるところもありますので各区役所のルールに従ってください。
一方で同じ市区町村内の引越しでは、転居届を提出したらそのまま印鑑登録の住所変更をしてくれます。ただし自治体によっては同じ市区町村内の引越しであっても、廃止届や新しく印鑑登録を必要とする場合もありますので注意してください。
【転出するとき】
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【転入するとき】
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自分または家族が介護保険を利用している場合
自分または家族が介護保険を利用している場合には、介護保険被保険者証を交換しなければなりません。介護保険被保険者証は各市区町村ごとに発行しているからです。
まずは旧住所の区役所に行き、これまで使用していた介護保険被保険者証を返却して「資格喪失手続き」を行います。喪失手続きを行うと「介護保険受給資格証」が交付されるため、それを持って新しい住所の区役所に行き「要介護・要支援認定」を申請しましょう。
また同じ市区町村で引越しする場合には、転居届を提出したときに合わせて介護保険の住所変更も行うとスムーズです。申請すれば、新しい介護保険被保険者証が交付されます。
【転出するとき】
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【転入するとき】
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犬を飼っている場合
犬を飼っている場合、新しい住所を管轄する市区町村で飼い犬の登録を行います。
同じ市区町村内での引越しならば、転居届を提出するときに「登録事項変更届」を提出しましょう。
またほかの市区町村に引越す場合には、まず引越し前の区役所もしくは保健所にて「登録事項変更届」を提出し、「鑑札」を受け取ります。そして、新住所の区役所もしくは保健所にて鑑札を提出し、住所変更を行いましょう。
自治体によっては「狂犬病予防注射済証」や「犬の登録料」などが必要になる場合もあります。
【同じ市区町村で引越す場合】
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【ほかの市区町村に引越す場合】
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区役所での引越し手続きは早めにやろう!
引越すときに行わなければならない区役所の手続きは、多くの場合14日以内などの期限があります。期限を過ぎてしまった場合には、罰金が発生したり保険証が使えなくなったりといった不都合が生してしまうため注意が必要です。
また引越しするときには、こうした手続きのほかにもライフラインの手続きなどもやらなければなりません。余裕を持ってスムーズに手続きできるように、引越し日が決まったら早めの準備をしておきましょう。
※市区町村によって内容が異なる場合があるため、詳しくは管轄自治体のホームページなどで確認してください。